旅日記:のと蘭の国

目的地:のと蘭の国(石川県七尾市細口町)
決行日:2002年5月5日

 ことの顛末は、両親と祖母が和倉温泉「加賀屋」に行ったことから始まった。自家用車で出掛けたので、周辺の観光もしてきたという。
 帰ってきた当日の夕食時に聞かされた話はもちろんその旅行のことだったが、突然母が大きな声で「そうそう!」と話し出した。なんでも「のと蘭の国」という場所でミンキーモモの立て看板らしきものを目撃したというのだ。しかし、そんなことをわざわざ教えてくれる親も親である…(^^;
 写真は撮ってきてくれなかった。流石にそこまで気は利かない。第一目撃者の父から詳しいことをいろいろ聞き出してみると、あった場所は入場ゲートの外で、駐車場へ続く道の途中のようだ。パンフレットのマップを指さして正確な場所を教えてくれた。しかし追求しているうちに本当にミンキーモモだったかだんだんと自信をなくしているようだった。
 これはもう「自分の目で確かめて、記録に残すしかない!」ということで、その翌日に突然の能登行きを決行。
 もちろんとんでもないオチが待っていて無駄足に終わる可能性もあったが、モモケットも延期されたこともあって、このままではいつもと変わらぬ時間をだらだらと過ごしてしまいそうだったので、行動に出ることにした。


早朝の犬山駅

 朝5時に起きて最寄り駅から一番列車に乗って出発。
 天気予報では石川県は晴れマークだった。しかしこちらはどんよりとして小雨がぱらついている。線路もぬれており、夜中には結構降っていたようだ。
 名鉄で新鵜沼駅まで行き、連絡通路を渡りJR鵜沼駅へ。目的地は七尾(石川県)だが、乗車券は途中の春江(福井県)まで購入。こうして精算した方が100円安くなるのだ。


岐阜駅

 岐阜駅に到着すると、乗ってきた列車は高山行きに変わっていた。
 あいかわらずどんよりとした空模様だ。


下りムーンライトながら車内

 ここからは上京時御用達のムーンライトながらに乗り換え。
 筆者は東に向かうときも西に向かうときも旅の初めはまずムーンライトながらという場合が多い。さけて通れない道なのだ。
 車内は見ての通り閑散としている。青春18きっぷの設定期間外のゴールデンウィークはこんなものなのだろう。

 大垣駅での接続列車である網干行きもこれまた空いており、米原までボックス席を一人で占有できた。青春18きっぷの期間であれば考えられないことである。
 米原では1時間ほど時間があったので、新幹線改札口近くの待合室で駅そばを食す。ホームの駅そばはまだやっていなかった。ここで一度改札を出て米原→金沢の自由席特急券を購入。窓口には列ができているのに、自動発券機は誰も使おうとしない。何故だろ?
 加越1号も結構空いており、終点の金沢まで隣には誰も座らなかった。
 約2時間で金沢に到着。



七尾線の列車(七尾駅にて)

 そしてすぐに七尾線の普通七尾行きに乗り換えた。
 もうボックス席の窓側は空いていなかったので、しばらく立つことに。ここからは未乗区間なので車窓を楽しみたいからだ。
 ところが、見た感じ観光客のような人ばかりで、ほとんどの人が終点まで乗り通していた。30分ほどしたところで地元民と思われる方がトイレの横のボックス席から降り立ってくれたので、そこに座ることができた。
 しかし、トイレを使った後にドアを閉めない輩がいるのには閉口した…。

 約1時間半で終点の七尾駅に到着。いや〜、能登半島は長い長い。まだこれでも途中までしか来ていないんだけど。
 乗るときは急いでいたので気付かなかったが、3両編成の真ん中の1両がモモ色だった。これぞ今回の旅にふさわしい列車だ!




七尾駅舎とその駅前

 時刻はちょうど正午。自宅最寄り駅を出発してから約6時間。
 やってきました七尾市へ。駅前には東海地方ではおなじみのユニーなどもあり、思った以上ににぎわっていた。
 しかしここからがまた遠いのだ。のと蘭の国は人里離れた山奥にあるという。
 タクシーを使えば早いのだが、敢えて徒歩に挑む。3kmぐらいならどうってことない。途中にいろいろな発見があるから徒歩の方が好きなのだ。見知らぬ地となるとなおさら。


あと2kmの標識

 あらかじめマップサイトの地図を印刷してきたこともあるが、道中このような案内標識が出ていたので道に迷うことはなかった。
 風景はどこにでもあるような地方都市である。ブックオフあり、洋服の青山あり、上州屋あり…。
 しかしここを曲がってからは一気に山深くなる。



山深い道と肛門科

 こんな風景が延々と続く。歩道なんてありゃしない。
 こんな道路を1人で歩いていたらはっきり言って不審者である。いつ通りかかったパトカーの警官に職質されてもおかしくない。そんな雰囲気がい…(以下略)
 事実、歩いている人には1人も出会わなかった。サイクリングしている人もいない。車でさえ時にまったくいなくなって静寂が訪れる。
 本当にこんな所にミンキーモモなどいるのか!?

 途中、ひっそりと肛門科があった。なぜこんな山奥にポツリと!?
 そうか、人目を忍んで来れるようにという院長の配慮かもしれない。


ゲート

 ようやく「のと蘭の国」の駐車場へ続く道に到着。
 片側に歩道があるが、ゲートの所には柵があり、やはり徒歩での来場は想定していないようだ。
 ゲートの奥をよく見てみると…あれは!?
 道の左側です。

 それでは、ゲートをくぐって、もう少し近づいてみる。
 もう疑いようもなくミンキーモモ!!!
 ほんとだったんだ〜!

 この道は私有地だからなのか、歩道のブロックの上には花が飾ってあったりして綺麗。

 ここまで近づけば空モモであることがわかる。

 ここがどこであるかを示す証拠の幟と共に撮影。
 そう、ここは能登の国…。

 モモだけを大きく撮してみる。結構でかい。
 見たところ素人さんが描いた物のようだ。
 忘れがちなポシェットがちゃんと描かれているのは偉い。
 ステッキの先端の★は魔法を表現したかったのだろうか。
 耳がない

 大自然の中にモモ。かなりの違和感。しかも時は21世紀。
 なぜモモはこんな所に立たなければならなかったのか。
 子どもの日にちなんで設置したのなら、もっと相応な最近のキャラがあったのでは…。これでは喜ぶのは大人達だけである。

 もしかすると、蘭の国の従業員の中にモモファンがいるのかもしれない。
 もし、ここをご覧になっているようでしたら名乗り出てください。お願いします(^^;


入場口

 入場口。ここから先は入館料がいる。
 今回の主目的はモモの立て看板を撮影することだったし、日帰りのためあまり時間もないので入館はパス。
 そのまま帰路に就くことに。

 見にくいかもしれないが、モモは後ろから見ると真っ黒。


ゲートを裏から

 いえいえ、お礼を言いたいのはこちらの方です(^^;
 第一、筆者は入場してないし。

 我らがミンキーモモを飾ってくれてありがとう!

 駅に戻る途中、行きに見つけたブックオフに立ち寄り、こち亀52巻と改蔵13巻を購入。もちろんその理由はモモおよびそれにちなんだものが出てくるからだ。
 七尾駅は列車別改札で時間にならないと改札が開かない。そのおかげで駅構内は特急に乗る人と普通に乗る人で大混雑に。七尾15:09発の普通金沢行きはかなり混んでいて、終点まで立ち客がいなくなることはなかった。
 金沢では40分ほど時間があったので、改札内の駅そば「白山そば」でとても遅い昼食。本当はしらさぎの方が岐阜まで行けるのでよかったのだが、ちょうど空白の時間帯だったのでまた加越に乗ることに。実をいうと、立て看板がミンキーモモじゃなかったらがっかりして普通列車で帰ろうと思っていた。ちなみに、金沢でも自動発券機を自力で使っている人は見かけなかった。窓口が混雑しているので駅員が自動発券機を操作して不慣れな人に発券してあげている始末。これでは本末転倒。
 米原でも20分ぐらい時間があったので、また懲りずに駅そば「井筒屋」。ホームの方が美味しいと思う。ということで、その日は3食とも駅そば。
 行きと違い、米原から岐阜まではかなり混雑していた。岐阜で乗り換えた列車は高山行き。うっかり寝過ごしでもしたら大変なことに。
 そして自宅最寄り駅に着いたのは9時ちょっと過ぎだった。やはり特急を使っても6時間かかるようだ。能登は遠い…。

 ともかく、見間違いでもなく、たった1日だけど有意義なゴールデンウィークを過ごすことができてよかった。


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